【恋する小惑星】『好きなことに取り組むための5つの姿勢』をていねいに描いた2020年名作アニメ!

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作画の安定感といえばこの会社!ヒット作を次々と生み出してきた動画工房による2020年最初のアニメは「まんがタイムきららキャラット」にて連載中の『恋する小惑星』(こいするアステロイド)でした!

この作品の魅力は、まんがタイムきらら特有の日常ゆるゆる感と会話のテンポ感を持ち合わせているということはもちろんのこと、登場人物たちの天文や地質といった地学分野へのガチな追求を通じた 「好きなものに取り組む姿勢」が見事に描かれているという点にありました!

目次


あらすじ

木ノ幡みら(以下:ミラ)は幼い頃、キャンプ先で星空を眺めていた少女・真中あお(以下:アオ)と出会います。

アオはどうやら天体に詳しいようで、ミラに対して木星の知識を教えてあげています。話を聞いて感心したミラが自身の名前を伝えると、アオは驚きます。「ミラ」という名前の星が存在することを、アオは知っていたからです

それを聞いたミラはさらに興奮し、「アオ」という星はないのかと尋ねましたが、アオは 「ないよ。そんな変な名前」 と返します。しかし、ミラはなおも 「変じゃないよ。かっこいい!」 と答えると、勢いそのまま 「なければつけちゃえばいいんじゃない?」 と言い放ちます。

小惑星であれば発見者に命名権があることから、幼いミラとアオは、一緒に星を見つけようと約束を交わしました。それっきり、2人は会う機会がありませんでした。

月日が経ち、偶然にも同じ高校に入学したミラとアオ。天文部と地質研究会が合併した「地学部」に入った2人と先輩部員たちが、天文班と地質班に分かれ、それぞれ好きなものを探究していくというのが『恋する小惑星』のストーリーです。

 

部員たちの姿勢

ミラ

幼い頃にアオとキャンプ場で交わした「星を見つけよう」という約束を信念として抱いていたミラは、目標に少しでも近くために、高校では天文部への入部を希望していました。部員の減少により地質研と合併した天文部あらため「地学部」で、アオと奇跡的な再会をします。

アオと会ったのは一度きりで、それから10年近くの間、特に何をしていたという描写のない、天体への特筆すべき興味が不明瞭なミラでしたが、それでもアオとの約束をかなえるために、天文部という憧れの部活がある(昨年度まではあった)高校を受験し、入学するという目標のための行動をきちんととっていました

ミラたちの入学から数ヶ月が流れ、夏休みになりました。地学部は夏合宿として茨城のJAXAに見学へ赴きます。小惑星の発見に繋がる情報を知りたいミラとアオは気持ちが高まり、施設内を積極的に探しまわっています。しかしながら、あまり求める情報は得られず、施設の職員たちに話を聞いてみても、納得のいく回答は得られませんでした。なぜならば、ミラたちが訪れたJAXAの宇宙開発センターは「宇宙に人間を送り込む」ことが専門領域で、ミラたちが興味を持つ「惑星探査」は得意としていなかったためです

あらゆる手を尽くしながらも求めていた情報が得られず、アオは落ち込みます。しかし、そんなアオを横目に 「全国の拠点を1つずつ当たっていけば、いつかはきっと専門家に会える!」 と、ミラは前向きな姿勢を崩しません。

小惑星を見つけるという目標に一点の曇りもないミラは、好きなことに取り組む人にとって鑑のような存在でしょう。ブレずに邁進しようとする姿勢は、実行したくてもなかなか難しいものですよね。そんなミラの真っ直ぐさは、アオを含め、地学部のメンバーに良い影響をもたらしていきました。

アオ

アオにとって大事なものは、ミラと天体です。ミラと出会ったキャンプの日、アオはひとりで星空を眺めていたうえに、幼いながらに豊富な天体知識を持っていたことを考えると、たとえミラに出会わなかったとしても地学部に入部していたか、そうでなくてもひとりで天体に関する探究活動を行っていたかもしれません。それでも、ミラと出会い、小惑星を見つけて「アオ」と名付けようと言われたことは、アオの人生に大きな影響を与えます。

アオは少し控えめな性格で、久しぶりに再会したミラと仲良くやっていけるかどうか心配でした。しかし、ミラが明るく積極的に関わってくれるおかげで不安を払拭し、少しずつ慣れ、普通に話せるようになりました。そうしてミラと親睦を深めると、部活に対してポジティブに取り組んでいくミラの側で、一緒になって熱心に活動していきます

2人の気持ちが明確にあらわれたのが2話です。あらゆる星はたいてい世界中で発見されているため、アオは、新しい小惑星を見つけることができるかどうか不安に感じています。そんなアオの不安をミラは汲みとります

ミラにとっては、アオが天体への興味を持ったきっかけで、アオこそが自分の先をいく存在です。ミラからすると、天体への興味も知識も自分より豊富なアオは「色々知っているからこそ、より具体的な悩みを抱えている」ように見えていました。ミラは、そんなアオに追いつけるよう頑張ることを宣言します

反対に、アオにとってはミラが先をいく存在でした。あの日、星を見つけて自分の名前を付けようと言ってくれたのはミラです。星の話をすれば、隣でいつでも喜んでくれるのはミラです。だからこそ、アオはミラと一緒にもっといろんなもものを見たいと思うようになりました。良い意味で、余計なことを何も考えずに小惑星を発見しようとするミラの側にいることで、アオも勇気を持って挑戦できるのです。

ミラがいるからアオは頑張ろうと思える。そしてアオもまた、ミラがいるから頑張ろうと思える。2人は同じ目標を持ち、ミラは積極性を、アオは知識を用いてお互いを支え合っていきます。やりたいことに向かって真っ直ぐに取り組むのが、2人の姿勢です

イノ

「イノ」こと猪瀬舞(いのせ まい)は、ミラたちが所属する地学部で唯一の2年生です。元々は地質研究会に所属していたため、地学部ではそのまま地質班に属しています。1年生の時に、地学室の前に貼られていた地質図にひとめぼれしたことがきっかけで地質研に入部しました。イノにとって、地質探究への入り口は地理や地図の方面だったというわけです

3話、イノは地図を片手に「飛び地」を散策していました。飛び地というのは、地図上において一部だけ別の地域に飛んでいて、周辺を隣接地域の区画に囲まれているような土地のことです。そんなマイナーな、まさしく裏通り的なものを探索して楽しんでいるということから、彼女が相当なオタク気質であることがうかがえます

とはいえ、イノが楽しげに行っている飛び地探索は、地質班の活動領域からは少し外れているということを自覚していたようです。なんでも、イノが地質班の本分である地質や石について興味を持ったのはここ最近だというのです。そのため、同じく地質研時代からの1つ上の先輩で、イノが慕っている「さくら」ことさくら井美景(さくらい みかげ)が地質や石について探究していることに気をつかってか、イノが興味を持っている飛び地探索については、部活ではなくプライベートの時間を使って活動するようにしていました

たしかに、地質研究という活動を広く考えれば、イノが行っている地図を使った散策は十分に部活と結び付けられるかもしれません。しかし、地学部においてたった2人しかいない地質班で、その活動内容が先輩とブレてしまわないように配慮するというのは、好きなことを誰かと一緒にやっていくうえで、実はとても大切なことなのではないでしょうか

お互いに近いものが好きな同志であっても、それぞれの「好き」の形や解釈は人それぞれです。したがって、一緒に活動する範囲をしっかりと決め、そこからはみ出た自分だけの趣味については、それぞれのやりかたで追求する。こういった姿勢は、オタク的な趣味活動を行っている人にとって、見習うべきものかもしれません

その後、3年生が引退して地学部の部長となったイノは、自身のやりたい分野である地図や地理についての興味をさらに深めるために、国際地学オリンピックへ挑戦していきます。

「好きなこと」を真剣に追求していく姿勢は部長として、さらには好きなことに取り組んでいく人として、ロールモデルとなることでしょう。

モンロー

「モンロー」こと森野真里(もりの まり)は、元天文部所属、現地学部の3年生で部長を務めています。天文班に属する彼女の夢は、宇宙飛行士になることでした。

とすると、天文部に入った理由は想像がつくのですが、一方で、部活についてはあまり情熱を傾けていませんでした。というのも、モンローにとって宇宙飛行士になるという夢はあくまで先の話で、部活はそのためのステップアップにすぎないと考えていたためです

実際、モンローが3年になる直前、天文部と地質研が合併することが決まった際には「大学の推薦受験に有利ではないか」という理由だけで部長を名乗り出たうえに、元地質研のさくらが「合併に納得がいかない」と顧問に対して抗議をしている様子を、「どうしてそこまで熱くなれるのだろう」 とドライに眺めていたほどです。

しかしながら、合併した地学部にミラとアオが入部して、天文班としての活動を通じて2人の真っ直ぐな姿勢を目の当たりにし、はじめは関わりのなかった地質研の2人とも一緒に活動をしていくことで興味の幅を広げていくなかで、部員たちそれぞれが好きなものに取り組んでいく姿勢に感化されたのか、宇宙飛行士という夢についても積極的になりはじめます

夏合宿でJAXAに訪れた際、普段は部全体をまとめる役に専念しようとするモンローは、今回ばかりは自分の探究心に意識を傾け、色々と見て回ったり、ガイドの話を積極的に聞いてはメモを取るような姿勢を見せていました。

実際、宇宙飛行士というのは狭き門ですから、目指すと決めた瞬間から、やるべきことは多くあるはずです。モンロー自身がどれくらいそれを意識しているかどうかは不明ですが、いずれにせよ、ミラたち部員の姿をみて、自身のやりたいことに対してより素直になれたのではないでしょうか

当初「推薦に有利だから」と考えていたモンローは、その目的を果たすべく、部長として部全体をまとめるという自身の役目をまっとうすることだけを考えるようにしていたのですが、その裏で、みんながそれぞれ好きなことに熱中して取り組んでいる様子を羨ましく思っており、部長という自身の役割と、他の部員たちが見せる情熱に嫉妬し、葛藤を抱えていました

結局、モンローは高校を卒業する日までその葛藤を抱え続けることになってしまい、あやうく心残りのある学生生活となってしまうところでしたが、途中から自身の夢にも積極的になりはじめたモンローは、とあるきっかけから、「自分は役目をはたそうとしていただけではなく、実はきちんと楽しめていた」ということに気がつき、学生生活が充実していたことを確信することができました。それについては、ぜひ本編を見て確認してみてください!  

さくら

最初から小惑星を見つけたいと思って入部してきたミラとアオ、きっかけを掴み、自分のやりたいことを絞りはじめたイノ。そして、宇宙飛行士になりたい気持ちを表明したモンローに対し、地学部で唯一やりたいことを見つけられていないのが、元地質研で現地学部の副部長・さくらです。

さくらは、他の部員たちがやりたいことを明確にしていく中で自分だけが何をやりたいかわからないという状況に焦りを感じています。しかしながら、地質や石への興味は強い彼女の好きなことへの取り組みかたは、人としてとても成熟しているように思えます

さくらが興味を持つ地質や石というのは、地質研の本分です。イノとは違い、自分の得意な領域を部活内で思いきり探究して良い立場にあるのです。実際、夏合宿で茨城の地質標本館へ訪れた際には、周りそっちのけで展示物に釘付けとなっていました。

たしかに部活として正しい活動を行っているのですが、だからといってさくらは決して強権的ではありません。我が強く、正論をピシャリと言うタイプではあるものの、自分の活動のあり方を他人に押し付けるようなことはしません。彼女がウマいのは、自分の領域に興味を持ってくれた人への対応です

たとえば、天文趣味のミラとアオが河原で石に興味を持った際、解説しすぎて興味の芽を摘んでしまわないよう、聞かれてもいないうんちくを傾けるようなことはせず、2人がする会話に割って入らないよう心がけていました。普通、自分の好きなことについて誰かが興味をもてば、ついついあれもこれもと語りたくなってしまいますよね

しかし、興味を持ちはじめの人にとっては、最初からあまりにも解説を垂れ流されると欝陶しく思えてしまうものですよね。さくらは、このあたりのバランス感覚がとても優れているようです。

他にも、天文班と地質班合同で会報を作ることになった地学部のメンバーは、それぞれが得意とする分野で連載を担当することが決まりました。さくらは、扱うテーマを「誕生石」とし、その理由を「とっつきやすいから」としています。

好きなことを執筆していい、むしろ、自分の好きを表現できる場所として会報が存在するという考え方もできるなかで、必ずしも読者の誰もが自分と同じものに興味を抱くとは考えず、それよりも、誰からでも興味を持ってもらいやすいライトな部分から提示しようとするというのは、オタク的な活動をする際には葛藤しがちなところでしょう。それをさくらはサラリと実行していました。

別の日、「ミネラルショー」と呼ばれる鉱物や石をたくさん展示しているイベントに部員を誘った際には、同行した天文班のミラでも、石に興味を持つことができました。もっとも、ミラ自身が好奇心旺盛というのもありますが。

地学部におけるさくらの本分はもう少し学術的な方面での石や地質ですが、パワーストーンやアクセサリー、化石に隕石など、地質分野への興味を持たない人にとっては「とっつきやすい」ものがメインのイベントに収集をかけるあたり、さくら自身が持つ興味の強さと反対に、地質分野に対する一般的な人気度とのギャップをきちんと把握できていることがうかがえます

さて、そんなさくらですが、好きなものはあるのに「目標」や「やりたいこと」を持って積極的な行動ができていないのはなぜでしょうか。

さくらを躊躇させているのは、彼女がもつ完璧主義的な面かもしれません。6話、地学部は文化祭での出し物を検討しています。

地質班は、昨年の地質研としての「真面目すぎる活動記録」の展示があまりウケなかったことを踏まえ、目玉となる大きな展示を考えます。そこで、校庭のボーリング調査をおこなう案が浮上しました。ボーリング調査とは、大きなパイプを地面に打ち込んで土を掘り出し、土の詰まったパイプを視覚化することでその土地の地質が確認できるという手法です。これにはさくらも興味を示し、地質班の代表として検討をはじめます。

しかし、ボーリング調査を本格的に行おうとすれば業者を呼ぶ必要があり、出費がかさむため現実的ではありません。くわえて、過去に学校で行われた地質調査の資料は、紙ベースでしか残っておらず、展示できるようなものは残っていませんでした。惜しみつつ、さくらはボーリング調査の展示を諦めます

他方、他の部員たちは文化祭に向け盛り上がっていきます。色分けしたムースを地層に見立てた地層風のパフェや、惑星や銀河を模したゼリーなどを提供する「ジオカフェ」という案が出て、部内の空気は一気に活発なものとなります。そんななかで、いまだ名案が思いついていないさくらは浮かない表情をしています。校庭のボーリング調査を自力でやってみるよう勧められましたが、無理だと決めつけてしまいます

さくらは、中途半端になるのが嫌だったのです。本格的なボーリング調査ができないのであれば、目玉となる展示物が手に入りません。それだったら、やっても仕方がないと思っていたのです。しかし、「無理って決めちゃって全部なしにするなんて、もったいない」という顧問の言葉と、それに同調した部員たちからの 「たとえ中途半端であっても、さくらが興味を持って調べたことが知りたい」 という気持ちに当てられハッとしたさくらは、重い腰を上げ、自分のできる範囲で校庭のボーリング調査に取り組む決意をしました。

当初、さくらが考えていた実際のボーリング調査にはきちんとした決まり事が多いのですが、完璧を捨て、自分にできることを選んださくらは、簡易ボーリングマシンを製作し、最低限、展示物として成り立つものだけに絞った調査を行うことにします

力仕事となるため、地質班の後輩であるイノと協力して取り組んでいたところ、以前より親交のあった新聞部や、その場に居合わせた野球部の生徒達が手伝ってくれました。普段は意地っ張りなさくらも今回は素直にみんなに協力を求めると、作業は一気に進みました。

手伝ってくれた人の中にいたさくらのクラスメイトが、 ボーリング調査の様子を見て 「よくわからないけど面白いね!」 と漏らします。「自分の趣味や部活のことは、クラスメイトにはわかってもらえないものだ」と決めつけていたさくらは、そう言ってもらえたことよって、どんなことでもはじめから無理だと決めつけてしまうのはもったいないということに気がつきます

こうしてさくらは、自分で築いてしまった完璧主義の壁を取り払い、何事もまずは素直に向き合ってみるようになりました。以降、相手の話を一度は受け入れるようになったさくらは、しばらく部員から妙に思われるほど、これまでとは異なる素直さを身につけました。

さくらは、頭が切れるタイプなのかもしれません。自分が好きな分野へ興味を持ってもらえるよう、その情熱を最初から他人に差し向けすぎないようにしながら様子を見ていくバランス感覚を持ちながら、一方では、少し考えすぎて動けなくなってしまう面も持ち合わせています。しかし、素直さを手に入れたさくらは、もはや無敵です。

自分の興味を決して相手には押しつけず、それでいながら、相手の話を一度は受け入れる。趣味活動をしていくなかで、これほどまでに最強なスタンスはありません。地学部のメンバーのうち、好きなことへの取り組み方がもっとも成熟したのは、さくらかもしれません。

まとめ

好きなことに対してまっすぐなミラと、ミラと一緒に頑張りたいアオ。自分の好きを見つけて、動き始めたイノ。みんなのことばかりでなく、自分の情熱にも気がついて積極的になったモンローに、好きなことへの取り組み方と、それにまつわるコミュニケーション能力をさらに高めたさくら。

お互いに影響を与えあうことで成熟していった地学部は、モンローとさくらが卒業し、新1年生を迎えることで、その探究活動をさらに発展させていきます。

アニメという、オタク的な趣味を持ち合わせているみなさまにおかれましては、ぜひこの作品を通じて、趣味ないしはライフワークといった活動に取り組む姿勢を改めて確認してみてはいかがでしょうか!


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